EPOのデメリット2

 

その他の副作用(高血圧、BUNの上昇、アナフィラキシーショック)

抗体形成による副作用以外の副作用をみてみましょう。
どんな薬にだって副作用はあります。副作用を怖がりすぎると何も使えなくなってしまうのかもしれません。ただし、副作用によって投与を中止せざるえない場合も当然あります。
薬剤名「エスポー」の場合はこちらのなかで人に対する副作用が報告されています。「エポジン」はこちらに。

 

<高血圧>

EPOの副作用としてまず浮かぶのは「高血圧」です。腎不全になると、ただでさえ血圧は上昇傾向にあるといわれています(もちろん個体差はあると思います)。

私が主治医に聞いたところ、「急激に赤血球が増えれば高血圧になることがあるけど、EPOを投与しても赤血球は少しづつしか増えないので、たぶん大丈夫だと思います」とのことでした。

 

しかし、もともと高血圧だった場合は注意が必要かもしれません。血圧の上昇については個体差がありますので、しっかりと獣医師の説明を受けてください。

 

<BUNの上昇>

ギャオスの「体験レポート掲示板」のなかでは、「レアケースだが、BUNやCREを上昇させた」という書き込みが見られました。
「エスポー」の添付文書のなかにも、副作用の欄に「BUNの上昇」とあります。

ただし、EPOを投与する時期というのは「腎不全が悪化している時期」ともいえます。BUNが上昇を示す時期とEPOを注射した時期がたまたま重なった、とも考えられる場合もあると思います。その場合は、一概に副作用とは言えません。

しかし、副作用の一つとして報告されているのも確かなので、やはりこまめに検査しながらEPOを注射するのが理想的だと思います。

 

<ショック症状>
また、アナフィラキシーショックなど一般的な薬でよく挙げられる副作用もさまざま報告されています。ネコによっては「合わない」ことも十分に考えられます。

腎不全が悪化した時期に腎性貧血になりやすいとすれば、EPOを投与する時期というのは、ネコが非常に弱っている時期であることも多いと思います。

そういったことを考慮し、獣医さんとよくよく相談して使用し、使用後はしっかりと経過を見守ることが望ましいと思います。

 

【2007年3月、エポの使用量について、人に対して警告が出されました】
あくまで人に対するものですが、エポの使用量についてFDA(アメリカの食品医薬 品局)から警告が出されました。こちらがソースです。
急激にヘマトクリットを上昇させることで高血圧および、さまざまな重大な疾患を誘発してしまうケースが報告されていて、それを防ぐためにも高用量を使用すべきではないと 警告されています。
効果が認められると考えられる、最低限の用量で使用することを推奨していますが、ネコの場合も、使用量についてはしっかりと獣医師と相談してください。
急激なヘマトクリットの上昇は高血圧を招きます。エポを使用したら、できるだけモニタリングを行ってヘマトクリットの推 移を把握してください。

触診で血圧を把握できる獣医さんもいますし、エポ投与による副作用についても、投与前に主治医と相談しておくと、いざとい うときしっかり対処できると思います。

【2008年『インターズー』掲載の副作用要約】
ヒトエリスロポエチ ン(rHuEPO)の投与は、副作用をもたらすことがわかっている。
・貧血
・抗rHuEPO抗体の産生(抗体産生の発生率は20〜50% に上るといわれている)
・痙攣
・全身性高血圧
・鉄欠乏
などが認められる。
したがって犬や猫におけるヒトエリスロポエチン(rHuEPO)の使用は、非常に効果的である反面、危険性があることをしっかりと考慮し、綿密な検査とそれをもとにした投与計画を練りながら使用することが大変重要である。